米国の職場研究メディアCharterは2026年10月21日、仕事でAIを使うフルタイムのデスクワーカー5,002人を対象とした「Charter AI Pulse」を公表しました。
キリコミでは、報告書に掲載された3つの設問と3つの役職、計9つの公表値を取り出し、役職間の差を計算しました。独自のアンケートではなく、元の調査を読み解くための再集計です。
役職別のAI回答への信頼
AIの回答を「とても/完全に信頼する」とした割合は、一般社員21.5%に対し経営層53.8%。差は32.3ポイントでした。一方、「自分の判断よりAIを信頼する」では一般社員16.3%、経営層32.8%となり、差は16.5ポイントです。
「回答を信頼する」と「人の判断より信頼する」は、尋ねている内容が違います。経営層の半数以上がAIの回答を強く信頼していても、半数以上が自分よりAIを信じているわけではありません。
| 項目 | 一般 |
管理職 | 経営層 |
|---|---|---|---|
| AIの回答をとても/完全に信頼 | 21.5% | 50.6% | 53.8% |
| 自分の判断よりAIを信頼 | 16.3% | 34.8% | 32.8% |
| 詳しい同僚よりAIを信頼 | 15.8% | 34.6% | 33.1% |
出所:Charter AI Pulse、32ページ。一般社員は人員管理を担わない回答者を指します。割合は公表値の転記です。
管理職と経営層の回答の比較
3つの設問を並べると、別の違いも見えます。「自分の判断よりAIを信頼する」は管理職34.8%、「詳しい同僚よりAIを信頼する」は34.6%で、いずれも経営層を上回っています。
今回取り出した3設問のうち2設問で、公表値が最も高かったのは管理職でした。ただし、経営層との差は2.0ポイントと1.5ポイントです。報告書の該当図には役職差の検定結果が示されていないため、統計的に確かな差かどうかは判断できません。
経営層と一般社員の差は、表の上から32.3、16.5、17.3ポイント。たとえば53.8%から21.5%を引いた32.3は「32.3%増」ではなく、「32.3ポイントの差」です。数値だけでなく、何を比べた数字なのかまで確認することが大切です。
調査の限界と社内運用への活用
これは、米国のAI利用者が自分の考えを答えた調査です。実際の回答の正確性を測った試験でも、AIによって判断力が低下したと確かめた実験でもありません。日本の職場全体や、AIを使わない人へそのまま当てはめることはできません。
それでも、社内でAIを導入するときに、全員が同じ感覚で回答を受け止めているとは限らない、と考える材料になります。報告書や顧客向けの案内にAIの回答を使うなら、どこを確認するか、迷ったときに誰へ相談するかを共有しておく。利用を増やすだけでなく、回答をどう判断するかまで話し合うきっかけにできそうです。
