110万超の端末で観測された命令実行
仕事中の画面に「不具合を直すには、この操作が必要です」と表示されても、その案内が正規のものとは限りません。利用者自身に不正な命令を実行させる手口が、ClickFixです。修復のつもりで行った操作が、端末への侵入につながります。
Microsoftが2026年10月1日に公開した年次報告の解説によると、Microsoft Defenderは同年2月から5月初めに、110万超の固有端末でClickFix型の命令実行を観測しました。重複を除いた端末の数であり、メールの送信数や被害企業数、情報流出が起きた件数ではありません。
年次報告全体の対象は2025年7月〜2026年6月ですが、この数値はその一部期間の観測です。監視対象となった端末の総数は解説に示されていないため、利用企業の被害率や、自社が狙われる確率には換算できません。
不調を起こして修復へ誘導する例
手口を理解する一例が、Microsoftが1月に確認し、2月5日に解説した「CrashFix」です。広告から偽の広告ブロック拡張機能へ誘導し、導入から時間を置いてブラウザーを不調にさせます。その後、修復を装った警告で、利用者に命令の実行を促します。
この事例では、正規のChromeウェブストアが誘導先に使われました。配布サイトの見た目だけで安心せず、拡張機能の追加と、その後に現れる修復案内を分けて判断する必要があります。年次報告の110万超はClickFix型全体の観測で、CrashFixだけの件数ではありません。
仕事を早く再開したい場面ほど、画面の指示に従いたくなります。しかし、表示された命令を端末の実行画面へ貼り付ける操作は、通常のページ閲覧とは異なります。内容を理解できないまま、修復という説明だけで実行しないことが基本です。
社内の相談先と利用権限を整える
社員向けの案内では、「怪しい画面に注意」だけでなく、「画面に出た命令を実行せず、普段の社内窓口へ連絡する」と行動を示します。警告に書かれた連絡先ではなく、社内で共有しているIT担当者や問い合わせ窓口を使います。
IT担当者は、業務で必要な拡張機能と承認者を決め、追加時の権限を管理します。あわせて、不要な管理者権限やプログラムの実行権限を減らす運用を検討します。権限を絞るだけで防げると考えず、端末の保護機能と社員からの相談を組み合わせます。
すでに操作した場合も責めずに報告できるよう、操作した時刻、表示内容、実行したかどうかを受け付ける手順を用意します。相談を受ける人と端末を調べる人が異なるなら、担当と引き継ぎ先まで決めておくと、初動の遅れを減らせます。
端末総数・国別内訳は参照した解説に示されておらず、割合や増加率は算出できません。
