AIの下書きを顧客へ渡す前に:21社の聞き取り調査から

開いた本を手に、内容を読む人物のイラスト

21社27人に聞いたAIの使い方

AIで提案書や説明資料の下書きを作った後、顧客へ渡せる内容に整える工程が残ります。Microsoft Research Africaの研究者らは2026年10月22日、この工程を扱う論文をarXivに公開しました。

対象はケニアとナイジェリアの21社に勤める27人です。聞き取りは2023年7〜10月に英語で実施されました。研究上の企業規模は従業員250人未満。質問の柱を決め、回答に応じて掘り下げる方法を使っています。

参加者は、すでに業務で生成AIを使っていた人から、職業上のつながりや紹介などを通じて集められました。全企業を代表する無作為調査ではなく、利用率や時短効果を測った研究でもありません。2023年の経験を、現在の製品性能の評価として読むこともできません。

下書きの後に根拠と条件を確かめる

研究で取り上げられたのは、もっともらしい文章を作る作業に加え、その内容を外部へ説明できるようにする作業です。営業・マーケティング担当者からは、AIの回答を支える資料を自分で探すという話が出ています。

法律サービスの参加者は、AIを出発点として使い、担当者が政府資料などの一次情報へ戻る手順を説明しました。一方で、AIが示した参照リンクを開けず、根拠をたどり直す例も報告されています。文章が自然であることと、内容の裏付けが取れていることは別の確認事項です。

地域の制度や言葉遣いが合わず、書き直す事例もありました。研究者らは、下書きから顧客向けの資料にするまでの確認や修正を、仕事として捉えています。ただし、どの問題が何%の企業で起きるかを示した結果ではありません。

社外へ出す条件と担当者を決める

この研究を自社の文書作成に生かすなら、作成時に「誰に渡すか」「何の判断に使うか」「誰が提出を認めるか」を決めます。以下は調査で効果が実測された手順ではなく、業務への整理例です。

例えば顧客への提案書なら、AIが書いた市場規模の対象国・年度・母数を原資料と照合します。料金や納期、契約条件は、社内の正式な資料や担当部門の回答と合わせます。原文の掲載先と確認日を残せば、作成者以外の人も根拠をたどれます。

裏付けが取れない文は、推測で補わず削除するか保留します。資料の状態を「下書き」「確認待ち」「提出可」に分け、確認待ちの箇所と判断する担当者を明記します。AIの答えを別のAIに見せて一致しても、原資料との照合は省きません。

作業時間を見直す際も、初稿ができるまでと、確認・修正を終えて提出できるまでを分けて記録します。残っている工程を把握することで、資料の種類ごとにAIへ任せる範囲と、人が判断する範囲を決めやすくなります。

確認日:2026年10月29日。原典はarXiv v1の公開論文です。主な根拠は参加者の語りであり、統一条件での性能試験・因果効果の実証ではありません。第3節はKIRIKOMIの編集提案です。本文の調査人数と回数は区別し、20回の個別面談と7人のグループ面談1回で27人という内訳も検算しています。

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